この日、弔鐘が女王の治世の終わりを告げ、King Charles IIIの時代が始まる。BBCはHM Queen Elizabeth IIの横顔の肖像をながく映してその死を悼む。なにしろ紙幣も刷り直しということであれば大変なことだと思ったのだけれど、肖像自体は世代を追って入れ替えて来たのだから、ルーチンというものがあるのだろう。即位のプロシージャーは70年ぶりに起動することになる。密やかに予行演習を続けてきた職人的な伝承を想像する。実際には日の目を見ることのなかった継承の世代が存在したのである。
Month: September 2022
WE GO ON
『WE GO ON』を観る。アメリカ製の地味な感じのホラー。死後の世界を証明しようとする男が新聞広告を出して有望そうな相手を訪ね歩くが、やがて恐ろしい目にあう。お金もかかっていないし、何を好き好んでというところもあるけれど、幽霊は実在して現世風のオチもつくのでそこそこ楽しめる。尺が短いのも美点のひとつといった作品だけれど、B級らしく見たことのないキャストながら、主人公がイチローに似ていて、そのことばかりが気にかかる。母親がバディ役という配置も珍しい。
この日、エリザベス女王の健康状態が懸念されるという一報が流れ、霧深いバルモラル城に王族が集まる。
大雨
夜半、この地方には大雨の警報が出されて、1時間に50mmクラスの降雨があり、時おり稲妻が辺りを照らす。家を震わせる落雷というのは久しぶりのことで、この先はたぶん急速に秋の色を深めていく。
近々、欧州でも利上げが予測されているというのに、1ドルが144円と円安は進む一方というこの日の深夜、iPhoneとApple Watchの新製品が発表される。直近の為替水準にしては価格も抑えめの印象があるけれど、傾向的な円安を織り込んだものではあって、今後はますます買いづらくなるに違いない。これが国が貧しくなるということであれば、日本などまだまだマシという見方もできるが、底がない怖さを考えるべきである。
善隣
日本海側を北上し始めた台風11号は、沖縄から朝鮮半島に向かうコースをとり、九州から中国地方の被害の心配もさることながら、韓国により大きな被害の心配がありそうな感じ。その天気図を前にしたNHKの台風報道は、しかし半島から大陸にかけては無人の荒野であるかのような説明で、もう少し隣国を気にかける様子があってもいいのではないかと思う。
その印象が残ったままBBCを聴いていると、ソウルからの中継は先日の大雨が低所得層に被害をもたらしたこと、その不満と批判が冷めやらぬ今回の台風襲来に政権の緊張も高まっていることをきちんと伝えていて、まぁ、自国の民度というものはこのようなインプットの質からも形成されるのであろう。
Netflixで配信の始まった『田舎街ダイアリーズ』を観る。普通なら田舎町と変換されるところだが、『海街チャチャチャ』を想起させたいというところだろうか。あれほどの華やかさはなく、物語自体もぐだぐだしている感じ。犬を罠にかけるくだりは、ただ感情的に許せないというものである。
キーバインド
Microsoft Wordはそれほど嫌いではないのだけれど、いわゆるショートカットキーの初期設定には辛いものがあって、Ctrl+Eで行末に飛ぶのではなく、行がセンタリングされるのだけはどうにかしたいと思っていた。手癖というもので、つい使ってしまうのだが、そのたびに書式設定されるのをCtrl+Zで戻すという無意味な行きつ戻りつが発生するのである。
標準設定に手を入れずに使うという最近の境地には反することだけれど、ショートカットキーの設定でAlignCenterの設定を削除して、EndofLineにCtrl+Eを割り当てるとこのあたりは期待通りの動きになるみたい。ついでにEditSelectAllのCtrl+AをOption+Aに変更してStartofLineに割り当て直すと、だいたいやりたいことは達成されている。
ザポリッジャ
ザポリッジャ原子力発電所にはIAEAの査察官が無期限で常駐するということだけれど、この2名を決めるプロトコルがどのようなものなのか、気になっている。戦争状態にあって直接交戦が想定される地域であれば志願によるものだろうが、そう突き動かしているのは現実的な危機感であろう。
電力喪失の警告をたびたび発しながらこの軽水炉が少なくとも一基、戦地において稼働を続けている状況自体がよく飲み込めないのだけれど、侵略戦争における前線地帯の河岸で稼働中の原子炉をどのように保全するかを想定したシナリオは想定せず、それどころか戦闘の影響下に置かれることを想定した原発はそもそも存在しないという話だ。国際社会の威信でどうにかしようというレベルを超えて事態は錯綜しつつある。
ナイト・ハウス
『ナイト・ハウス』を観る。湖畔の家に深い失意を抱えたまま残されるという状況の映画がときどきあって、『メッセージ』のエイミー=アダムスの佇まいも結構好き。本作はレベッカ=ホールが夫に死なれた女性を演じているけれど、物語の進行に従って状況が徐々に明かされていく手つきがスマートで、錯視によって何者かの存在を感じさせる不穏な演出と相俟ってサスペンスを盛り上げる。ストーリーそのものが反転の構図を持っていて、よく構築されている。とはいえ、明らかなカタルシスのある種類の話ではない。
夕方からの結婚式に招かれ軽井沢へ。山越えの天候は不安定だったのだけど、中軽井沢に向かっている途中では山を背景にして大きな虹を見る。星野リゾートによる今様の披露宴というのは、いろいろと手の込んだもので、まぁ、大変なものだと思ったことである。夜半、復路は大雨となってセンターラインを頼りに山道を走る。