何だかよくわからない理由で留め置かれていた犯罪が、急に動き出すところをみると、そこには都合の悪い事情があって司法の動きが堰き止められていたのだろうと察しがつく。何しろ改めて伝えられる証拠は、新たに出てきたものでもなく、それどころか悪代官の横死のあと、ひょっこり出てきたものだというのである。
この国のシステムが、ほとんど骨抜きというところまで駄目になっているというのは残念ながら事実のようである。残ったわずかな自浄作用が、不自然を承知しながら修正を試みる過程に今はあるようだが、このほかにも澱みは残っているに違いあるまい。