散り椿

『散り椿』を観る。葉室麟による時代小説の映画化。主人公の瓜生新兵衛を岡田准一が演じ、オールロケーション撮影によるリアリティのある画面と切れのある殺陣が相俟って迫力のある映像になっている。監督と撮影は黒澤組出身の木村大作で、雪と雨のシーンにはびっくりするくらいの物量が投入されている。その作家性に加えて、玄人はだしという水準にある岡田准一の居合が見どころであろう。大したものである。

この日、国会では首相の所信表明演説があったのだが、この御仁はこの期に及び円安メリットを生かすなどと述べ、相場は145円台に回帰する。メリットのある円安であれば、さきに為替介入を行ったのはいったい何だったんだということであろう。「リスキリング」というバズワードも飛び出し、もとより厚生労働省は学び直しの講座助成を強化しているけれど、旅行業と同じく、利権化したキャリア産業の腐臭が酷い。この国の下り坂も随分と続いているけれど、まだ底が見えないというのは幸いというべきなのか。

ワーニング

『ワーニング』を観る。イ=イェジが主演の韓国製のホラー映画。いわくつきの自主製作映画を追う映画監督が、封印された謎を追ううちに恐ろしいめに遭う。イ=イェジが地味な眼鏡女子を演じるというあたりが趣向ということであろうか。こうなると高校生くらいにしか見えない。

全体にファウンドフッテージスタイルの映画ではよくある演出なのだけれど、恐怖に共鳴していく描写はそれなりに怖くて悪くない。なぜ恐ろしい事情に立ち入ろうというのかという主人公の動機の設定がきちんとされている話はそれほど多くないと思うのである。結果、面白くなっているかといえば、かなり微妙なところはあるとして。

この日、チェチェンのカディロフが国境付近での核の使用に言及する。母国をロシアの傀儡とし、率先して非人道的な振る舞いを続けるこの男の死に様に興味がある。

Parallels Desktop 18

IntelのCPUを搭載したMacの時代には、VMWareやParallelsの仮想化ソフトを使ってWindows 7を導入して使っていたものだけれど、M1に移行してからはそもそもARMベースのOSしか動かないので自然と遠ざかっていたのである。最近、Windows 11にもARMベースの正式版が登場し、Parallels Desktop 18はこれをサポートしているというので、必要というよりは興味からこれを導入してみる。

もともとOSの導入自体には何の難しさもないソフトではあるけれど、ARM版のWindowsをダウンロードして動かすところまで、ものの10分で終わるあたりには感心する。Windowsそのものも、立派にARM化されていて、わずかに翻訳の洩れがあるばかりである。CPUの割り当ては4コアというのが初期設定だけれど、VMにおける速度の問題は今や存在しないといってもいいのではなかろうか。違和感なく動く。

あまりにも普通で面白味にかけるのでLinuxのディストリビューションも導入してみる。Kali Linuxもあっという間に起動して、デスクトップ環境を整えるのに苦労する時代は遥かの感強し。一方、Kali Linux自体が面白くて、何しろ用意されているパッケージはディープだし、いろいろ行き届いている。