そして、バトンは渡された

『そして、バトンは渡された』を観る。原作の小説は未読。家父長的な家族の物語ではないとして、話そのものは意外な展開を重ねて観客を泣かせようという意図で作られていることがヒシヒシと伝わってきて、それでいて予定的な調和を強く感じさせるので、今ひとつ感心できない。なんだか不思議なストーリーなのである。永野芽郁の演じる主人公にどうしてそうなるの、と問うセリフがあって、「せやな」と思ったものである。

県内は連日2,000人を超える新規感染が確認されていて、病床使用率は医療緊急事態宣言の目安とされている50%を超える。この現実を見ることなく、やり過ごそうという雰囲気があるのだけれど、いやそういうわけにはいかんでしょ。取り立てて対策をとらず、一方でワクチンの効果は経時的に低下するので、結局のところ医療現場は崩壊し、医療弱者にしわ寄せがいくというのが今、見えている景色だが、国家レベルで認知的不協和に陥りつつある今では、避けがたい状況であるように思える。