この日、円安はさらにすすんで20年ぶりに1ドル130円を記録する。今やロシアルーブルよりも弱いといわれる通貨となった円だけれど、高騰する海上輸送の運賃が価格に上乗せされるのはこれからのことである。今年の後半にはその影響が広汎に及ぶだろう。
急激すぎる円安は不確実性を増すと日銀総裁は言ったようだが、インフレの昂進する世界で、低金利政策が継続できなければ中央銀行が債務超過に陥るという状況の不確実性こそが問題なので、結局は自らの政策が蒔いた種なのである。どこかのタイミングで逃げ出す算段を始めているのではなかろうか。
電子部品の高騰もあってパソコン周りの製品価格が上昇しているところに、この先の新製品のタイミングでは確実に円安ベースでの改定が行われるので、駆け込みの発注が積み上がっているだろうけれど、上海のロックダウンでアップルの製品も届くのは2ヶ月先というのが標準の納期なのである。それもどうなるかわからない状況でも発注し、仮に円が戻れば、安くなったといって買うのが人情というものだが、そうこうしているうち、国民全体の購買力は確実に低下していくだろう。
この日、国連のアントニオ=グテレス事務総長がロシアの次に訪問しているキーウにミサイルの攻撃が行われる。極めてロシア的なメッセージだという気がする。