『THE BATMAN』を観る。何度となくリブートされるバットマン。しかし、ロバート=パティンソンが演じる今回のカート=コバーン風のブルース=ウェインもなかなか悪くない。ゴッサムシティを舞台に連続的に起きる事件をゴードン警部補とともに追う『セブン』みたいな展開は、事件現場に佇むバットマンがシュールといえばシュールだけれど、ハードボイルドな世界観をよく構築していて見応えがある。
ボール=ダノが演じるリドラーという敵役の語彙はトランプを想起させ、当人が捕縛されたあとに扇動されたそのフォロワーが騒乱を画策するあたりをみれば、これもアメリカの分断をテーマとした映画には違いないのだが、ゴッサムシティの腐敗を題材にしたオーソドックスなストーリーに落とし込んでバットマンらしい物語になっている。ハイテクに助けられる部分もほどほどで、いろいろ好ましい。
ホアキン=フェニックスが演じているジョーカーと同じ世界線にある雰囲気だけれど、両者が似すぎているだけに、共演はないだろうという話には説得力がある。それどころか、この物語の続編があるとして、語るべき内容が何になるのか想像がつかない。