NHKで正月時代劇の『いちげき』を観る。小説『幕末一撃必殺隊』を原案とした漫画『いちげき』をもとに宮藤官九郎が脚本を書いたという話だけれど、いちばん面白味があるのは六代目 神田伯山の語りの部分かもしれない。薩摩藩士による御用盗を成敗する非正規部隊という設定はいいとして、リアリストの勝海舟も赤報隊の相楽総三も今ひとつ話の奥行きに貢献していない感じがあるし、話の運びがぎこちないところもあって、もしかしたら90分の尺では短過ぎたのではなかろうか。一撃必殺隊の訓練期間を強引に短縮するというエピソードが入っているけれど、脚本家の体験が反映されていると見えなくもないのである。
染谷将太と松田龍平、伊藤沙莉といったメインキャストは期待通りの役回り。尾美としのりが出演しているあたりに宮藤官九郎っぽさを感じる一方、仁田忠常もとい高岸宏行が出演しているのは新鮮。全体に原作よりも明るめのトーンとはなっているはずだけど、時おり覗く絶望と理不尽な命の遣り取りの感じは悪くない。