ナイブズ・アウト グラスオニオン

あけましておめでとうございます。

この年はものごとの決定力が市場から政府へ移る、今後の趨勢がいよいよ明らかになってくる年になるだろう。国際政治においても同様となれば、我が国の相対的な弱体化はますます進むに違いないのだが。

『ナイブズ・アウト グラスオニオン』を観る。遺産相続にかかわる屋敷ものだった第一作に比べると雰囲気はガラリと変わり、時節もパンデミックを踏まえてセレブたちの事件という設定だけれど、ギリシアを舞台にした孤島ものであり、倒叙的な解明が物語的な面白味になっているのも同じで、ミステリとして本格的な仕様となっている。評判の高かった前作の続編であることがはっきりとわかるのが、そうした背骨の部分だということが、かえって脚本の質の高さを証明してると思うのである。

その監督・脚本はかつて『BRICK』という名作をものにしたライアン=ジョンソンで、知らない間に『スターウォーズ / 最後のジェダイ』でも監督・脚本をやっているみたいだけれど、こういう脚本を書いて、監督までできる人間はそうはいないのではなかろうか。ダニエル=クレイグが演じる探偵ブノワ・ブランの同居人にヒュー=グラントが顔を出し、世界観は着々と広がっている様子なのも嬉しい。さらなるシリーズ化も期待できると思う。そして、久しぶりにケイト=ハドソンが出演している映画を観たけれど、元気そうで何より。