この日、東京都最果ての島、青ヶ島南南東65キロにあるベヨネース列岩付近の海水が変色していることが伝えられ、噴火警報が発せられる。明神礁とも呼ばれる付近の海底はカルデラ火山の円環が明確な地形で、今回のような変色水はたびたび観察されて都度、警戒が発せられているようである。一方で、1952年には観測中の海上保安庁の船が噴火に巻き込まれて31人の乗組員全員が亡くなるという痛ましい事件が起きているということは初めて知った。今回の異変が噴火にまでつながるかはわからないけれど、海底でのカルデラ火山の噴火は水蒸気爆発をともなう非常に激しいものになるだろう。噴火の恐ろしさは規模の上限がないというところだけれど、日本列島はるか南海はプレートの大規模構造が押し寄せる力の溜まり場であるのだなという感嘆しきり。個人的にはベヨネース列岩をはじめとする固有名詞に大映映画的ニュアンスを感じるのだが、迫り来る巨大なスケールの影そのものに対する畏怖でもあると思うのである。