『無垢なる証人』を観る。2019年の韓国映画。事件の目撃者となった自閉症スペクトラムの少女と、自分の仕事に鬱屈を抱えた被告側の弁護士が親しくなる。少女の目撃証言の証拠としての能力を覆そうとする裁判のなかで、弁護士は被告の言動に疑いをもち、職業的な葛藤をも抱えることになる。
自閉症スペクトラムを題材としたドラマがさすがに多すぎるのではなかろうかと思うけれど、演じたキム=ヒャンギの仕事は素晴らしいものだし、この少女の話が『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』を生んだという気がしなくもない。
法廷ものとして悪くない仕掛けが施されていて、生きづらい社会にあっても、全ての生まれてきたものや、良く生きようとする人を祝福しようというという脚本の意図は明確で、全体によく出来ている。主演のチョン=ウソンは、本邦なら福山雅治という印象で、ひたすらいい男というほかない。