特異性

本邦の首相が、歴代首相で初めて戦地を訪れ、縁起担ぎのしゃもじを贈ったという話に衝撃を受けている。当人は何が悪いのかと思っていることであろう。もしかしたら、狂人がそう思うが如く。国内に向けては戦争の危機を訴える人間が、このように想像力の決定的な欠如を露呈している状況は、ちょっとした国難というものではなかろうか。ガ島の鼠輸送で届いたドラム缶の中には竹槍が詰められていたという話があるけれど、物資の窮乏が常態化した戦時にあらず、あらゆる選択肢の中から選び取られたのがしゃもじであれば、そもそもこの者たちが試みるあらゆる政策努力が全く的外れに見えても何もおかしくないわけである。