M2

この日の深夜、噂されていたMacBook ProとMac miniのM2ベースのチップへのマイナーアップデートが発表される。仕様上はMac miniにM2 Proのラインが追加されたことが大きな変化というくらいで、ほぼ並行移動という印象の発表で、価格としてもMac miniのスタートが100ドル引き下げられて599ドルとなっている。隙間を漏れなく埋めていくという点で非常に整然としたものである。

しかし日本の市場向けの為替レートは税込でざっくり140円の水準で、否応なく購買力の低下を実感させられる。アップルは為替の対応をかなり機械的に行なっている様子だから、淡々としたものだけれど世知辛いものである。メインストリームがこの調子だと、信者の多い日本であってもさすがに売れ行きに影響が出るのではなかろうか。このじわじわとした余裕の干上がり方こそ、国が貧しくなっていくさまの実相であろう。

第2話

『イルタ・スキャンダル』の第2話を観る。どんな塩梅かと思っていたけれど、次回へのヒキは十分といった感じで、久しぶりに毎週2話ごとの視聴習慣が復活しようかというところ。基本的にラブコメで、男性主人公にまつわる過去の因縁が顔を覗かせ、身辺に迫る不穏な事件というあたりの定番フォーマットが律儀に踏襲されている。欠けているのはライバルとなるセカンドリードの登場というところだけれど、雰囲気としては少し先のタイミングというパターンになるのではなかろうか。正直、そうした型に嵌ってくること自体は疑っていないのである。

Twitterのサードパーティ製アプリが排除されているらしいということが話題になっている。何しろTwitterそのものに半分、見切りをつけているので、間近に迫ったTweetbotのサブスクリプションはもともと更新しない設定にしていたのだが、狙い撃ちにされて復旧の見通しが立たない以上、他のユーザーも基本的にキャンセルすることになるだろうから、開発元Tapbotsも商売上がったりということになる。以前も嫌がらせはあったとして、コミュニティを支えてきた開発者への今回の仕打ちはユーザー離れに駄目を押すだろう。もちろん、自業自得というものである。

イルタ・スキャンダル

Netflixで配信の始まった『イルタ・スキャンダル』の第1話を観る。予備校のスター講師が主人公という設定の韓国ドラマは結構あると思うのだけれど、『賢い医師生活』でジュンワンを演じたチョン=ギョンホが、胃弱っぽいスター講師というキャスティングに惹かれている。どうやらチョン=ドヨンが演じる惣菜屋の店主とのラブコメのようだけれど、面白くなっていくかはもう少し観て観ないとわからない。

これもスタジオドラゴンの制作で、似たような設定のドラマが量産されることに賛否はあると思うけれど、ハリウッドと同じくシステムとしてのマーケティングが機能しているということであろう。視聴者は観たことがあるような話を観たがるものである。もちろん、それだけでは早晩、立ち行かなくなるとして。

エイリアン:コヴェナント

『エイリアン:コヴェナント』を観る。『エイリアン』の前日譚として大きな風呂敷を広げた『プロメテウス』の続編で、リドリー=スコットが監督しているからには正統であるとみたいところだが、話自体はどうも陳腐な方に向かっているという気がしなくもない。クライマックスさえ、どことなく観たことがある雰囲気で、感心するところがあまりない。

INFORMA

Netflixで配信の始まった『INFORMA』を観る。地上波に先行した配信という目新しい試みのようである。『エルピス』のカンテレの制作ということなので、それだけでも印象は悪くない。主人公の情報屋を桐谷健太が演じる1話30分枠の深夜ドラマで、初回から登場人物のキャラは立っていて、森田剛やMEGUMIも結構いい感じなので続きを観ようという気になっている。懸念があるとすれば、何もかもが予定調和的にそれっぽいというところだけれど、今のところは絶妙な塩梅が成立していると思う。

外遊中の首相が英国ともDefensive Pactを締結して、インドパシフィックにおける中国の仮想敵化が一層すすむ。日本への英国軍駐留が可能にさえなったということの実質的な意味合いはともかく、結局のところ日独伊三国同盟の成立がその後の米英との対決を決定づけたという歴史を踏まえれば、この外交的選択はあまりに拙速で波及的な影響を考えているとも思えない。グランドデザインを描いているのは日本国内に存在する議論でない可能性さえあるが、このところの本邦政治を暴走させている力学はいったい何なのか。

俺の家の話

『タイガー&ドラゴン』からの流れで『俺の家の話』を観ている。落語だけでなく能という題材で大家を演じ、全く茶番にしない西田敏行の芸は大したものだ。そしてそういえば、これはコロナ禍の物語であって、パンデミックのあの時期、死と生と共同体を、ひょっとしたら誰もがもっと考えていたと思うのである。あの最終回からこっちの未来が、あらゆることを見て見ぬふりの、こんな有り様になっていようとは。

Bulletin of the Atomic Scientistsのニュースレターによると、Doomsday Clockの2023年のアナウンスメントは1月23日になるそうである。真夜中まで100秒というのが現在のステータスで、ここ暫くは様子をみる感じが続いていたけれど、今年はどうしたって破滅に近づいているという評価になるのではなかろうか。それをどのような文脈で語るかが見識の見せどころということになる。

6万人

この日、国内のコロナ死者は初めて500人を超える。そのこと自体はニュースというよりは、もうだいぶ前から決まっていたことではないのか。累計の死者は6万人を超えて、なお急峻に増加しているのである。それでもなお、これを黙殺しようという為政の冷淡さに心底、驚く。