本邦の首相が、歴代首相で初めて戦地を訪れ、縁起担ぎのしゃもじを贈ったという話に衝撃を受けている。当人は何が悪いのかと思っていることであろう。もしかしたら、狂人がそう思うが如く。国内に向けては戦争の危機を訴える人間が、このように想像力の決定的な欠如を露呈している状況は、ちょっとした国難というものではなかろうか。ガ島の鼠輸送で届いたドラム缶の中には竹槍が詰められていたという話があるけれど、物資の窮乏が常態化した戦時にあらず、あらゆる選択肢の中から選び取られたのがしゃもじであれば、そもそもこの者たちが試みるあらゆる政策努力が全く的外れに見えても何もおかしくないわけである。
Month: March 2023
ナイト・エージェント
Netflixで配信の始まった『ナイト・エージェント』を観る。映画かと思っていたら全10話のシリーズで、冒頭からアクションを奢ってくるので、かえって嫌な予感がする。シーズン2に続いても不思議はないという感じに大きく広げられた陰謀の雰囲気は、懐かしい『24』を思い起こさせる。国内で活動するエージェントが危機に陥った時にかけてくるホワイトハウスの直通電話、その電話番のFBI捜査官が主人公という設定はいいのだけれど、もちろん話は要人のなかにいる裏切り者を巡って展開する。第3話まで観て、ぼちぼち消化していこうと思っているところ。
ファイリングシステム
そろそろ年度も新しくなるので、日々積み重なっていく電子ファイルを整理してアーカイブに押し込もうかと考えている。テーマが明確なものはプロジェクトのフォルダを作成し、プロジェクトに紐づかないものは超整理法的に日別のフォルダに落としていくのがいつものスタイルで、作業ファイルは振り返って開くこともまずないので、特に細かく整理しなくてもいいと考えている。
しかしファイルそのものに本格的なタグやメモが付けらればいいのにと思うこともしばしばあって、エクスプローラーに本質的な進化が見られないのはどうしてなのかと思わなくもない。そこで画像管理ソフトのEagleをファイル管理に使えないだろうかと考えている。基本的に優秀なアプリだし、プレビューはOfficeドキュメントの拡張子にも対応しているので意外に便利なのではないかと思うのだけれど、そういう使い方をしているという話を聞いたことがない。
急に具合が悪くなる
『急に具合が悪くなる』を読み終える。2019年に亡くなった哲学者の宮野真生子と、人類学者の磯野真穂の往復書簡による共著。宮野さんの遺稿というべき内容を含んでいて、没後、あまり間をおかずに出版されたのだけれど、これまで読むことができていなかった。哲学者としてのこの人というより、2016年まで更新されていたブログの一読者としてのファンで、西陣での暮らしとそのライフスタイルに憧れたものである。
最近、ある記事で、病を得た人が闘病中に読んだ本のうち、もっとも影響を受けたとあって、そろそろ頃合いかと思った経緯がある。いくつもの重要な言葉がある。
この日、本邦の首相がウクライナを訪問する。電撃とも極秘とも冠されつつ、しかし移動手段や合間の映像が逐一中継される様子は来月の選挙を意識したパフォーマンスとしか見えないが、中国の主席がロシアを訪問しているタイミングにおそらくは図らずもぶつかってしまったことは、国際関係の図式として重大な意味を持っている。喜劇とみせつつ、実はのちの悲劇という歴史の一幕になりかねないが、当人には何の自覚もないであろう。
筋肉痛
日曜日に渡世の事情で土木作業に駆り出され、その午後は何もする気が起きずゴロゴロと過ごしたわけだが、週明けはそこかしこの痛みが稼働を阻害する。スコップを使って農道に砕石を敷く作業だったので、まぁ、本格的な土木作業だったのである。堪える。
だがしかし、1日働けば休みである。この日に年休をあてて4連休とした人間には味わうことができない、休日前の至福の時にある。
ザ・リクルート
『ザ・リクルート』を第1シーズン完結の8話まで観る。いや、第2シーズンに繋がることを前提にした話だとは思っていなかったのだけれど、物語のラストはこれ以上ないというくらいに立派なクリフハンガーで、あややとなっている。調べると第2シーズンの制作は順当に決まっていて、それはいいのだが配信は2024年だそうである。まじか。
雲行きが怪しくなるのは残り10分を切ってからで、それまでは第1話冒頭に繋がる全編の山場を相応の銃撃戦で盛り上げていたのだから、アメリカドラマ特有の悪癖が露呈したと思わなくもない。この宙吊りで向こう1年を越すことになろうとは。
エクストラポレーションズ
Apple TV+で配信の始まった『エクストラポレーションズ』を観る。例により毎週金曜日配信で、初回は3話配信。「すぐそこにある未来」という副題が添えられた本作では、2037年から33年にわたる人類の物語が語られる。気候変動がもたらす大規模災害が、じわじわと人類の生存と生物の多様性を脅かす。
1.5度シナリオをなし崩しに2度シナリオに塗り替え、2.4度まではいいことにしようという資本主義の愚かさが語られる第1話は、まったくありそうな話で現実でも、おそらくこのように手遅れを追認することになる。ここで予測される未来は、比較的に穏当な変化を描いているように見えて、おそらくこれよりもずっと悲惨な絶滅期を世界は生きることになるのではなかろうか。