日本で去年1年間に死亡した人は156万人を超えとなり、統計を取り始めてから最高を記録したそうである。NHKのニュースは、高齢化によってこの先に見通される死亡者数の高止まりを指摘して、特に都市部での火葬の能力の不足にまで言及する。2040年に年間167万人の死者を予測のピークとしてその後もしばらくは同じ水準の同胞を見送る「キャパ」が必要だというのである。
それ自体は人口動態の必然から予測することができる結論ではあるのだが、2022年に前年比で9%増加した水準の異様さに何ひとつ言及がないまま、過去のトレンドを踏まえた推計をもとに賢しく結論するのがこの頃のNHKで、COVID-19の感染拡大を背景とした超過死亡の高止まりが続くのであれば、年間死者は予測を17年先取りして、今年にも170万人を超えるというのが対前年+9%の意味合いではないのか。これを見て見ぬふりのマスメディアであれば、いかなる不正義に対しても同じことができるに違いない。