ゾン100

もう7月というわけで、世間は夏シーズンの番組に切り替わり、新番組もちらほらと配信に現れるようになってきているので、さわりの部分をちょっと見たりしている。『ゾン100 ゾンビになるまでにしたい100のこと』というのはNetflixで予定されている実写版が面白そうだと思っていたのだけれど、この度、アニメも開始されたというのでメディアミックス戦略に感心していたのである。原作の漫画は未読。

その第1話は、いわゆるブラック企業に勤める主人公が、過酷な労働に流されるうちゾンビ同然の毎日を送るようになるという導入なのだけれど、漫画的に誇張されたブラックぶりやそれに適応している一群の社員が描かれてキツい。もちろん、カリカチュアされた状況が物語の動機に転じることはわかっているのだが、この奴隷制資本主義の臭気にはエンタメの気分を削ぐところがある。どうして、これほどまでに許し難いのかを考えている。

1秒先の彼女

『1秒先の彼女』を観る。2020年公開の台湾映画。岡田将生と清原果耶でリメイクしたのが先ごろ公開された『1秒先の彼』で、こちらでは男女の設定を入れ替えたみたい。脚本を書いたのが宮藤官九郎だというので、少し楽しみだけれど未見。もちろんこのオリジナルの評判もよくて、ヨーロッパ企画みたいな技巧的な脚本も面白いし、世間から少しだけはみ出ている男女の疎外や喪失の描き方が何しろいい。

郵便局で働く主人公のヤン=シャオチーは楽しみにしていたチャイニーズバレンタインの1日の記憶が残っていないことに気づくが、夢の導きと残された写真の謎を追って見つけ出した私書箱の手紙が7月7日の出来事を呼び起こす。とりとめのない記憶のエピソードと、夕日と光線の入射が人生のままならなさと美しさを感じさせるし、それを体現した主演のリー=ペイユーの存在感は素晴らしい。がちゃがちゃとした序盤の印象と、後半のポートレイトの佇まいは別人のようで、それをそのままなぞることを回避したリメイクは賢い選択をしたのではなかろうか。

異質であり秀逸でもあるのは父親のエピソードで、ただ風だけが吹いている世界に奥行きを与え、物語の寓意を深める仕組みでうまい。

大雨

夜半にかけて50ミリを超える雨が降る。AirPods Proをノイズキャンセリングモードで使っていて、外音取り込みに切り替えたら大音量のホワイトノイズが聴こえるので故障したのかと思ったのだけれど、急に屋根を叩き始めた雨の音だったのである。

これより西ではこの調子で降り続いているという話だから、大きな災害が起きても不思議はない。気候の変動は年を追って進むので、雨量の多さも平年値に吸収されてしまうけれど、長期的には気温は上がり、それに応じて天候の振幅も大きくなっているのを年ごとに感じている気がする。今年の夏も暑くなるというのである。

大奥

NHKのドラマで、少し前に評判になっていた『大奥』を観る。原作はもちろんよしながふみの漫画。シーズン1は全10話だけれど、既にシーズン2が決まっていて幕末までを描き切るという。いろいろ力が入っている作品で、もちろんよく出来ているのだけれど、徳川吉宗を冨永愛というキャスティングがあらかたを持って行く。カッコいいのである。構成からして原作に忠実な雰囲気で、愛が感じられて、幾度となく実写化されてきた同作の新たなメルクマークという感じ。面白い。

この日、専門家の会合が開かれ、コロナの感染状況はXBB1.16の割合が増加しているらしいことが確認される。いわゆる免疫逃避性能の高い変異株が今年の夏の流行をつくり、膨大な感染者からは多くの死者が生まれることになる。どうやらこの会合の結論は傍観ということだったようだが、それでよろしいか。

ハードナッツ

昔のNHKドラマで、橋本愛が数学科の学生を演じた『ハードナッツ』を観始めて、何となく見入ってしまう。ややエキセントリックな演技プランの橋本愛は、時どき能年玲奈みたい。いつのドラマかと思えば、2013年なのでもう10年も前なのである。いや、時の流れの速さよ。物語は少年マンガの推理もののような雰囲気で、リアリティとは遠いところにあるのだけれど、ぼんやり観るにはいい感じ。

感染者

週に一度、地方のCOVID-19感染のトレンドが報じられるタイミングがわずかに残っていて、もちろん第9波ともいわれる状況では足もとの感染者の数は明らかな増加の傾向を示しているのだけれど、たまたま見ることになったNHKの地方ニュースでは、その文脈にコロナあるいはCOVID-19という言葉を使わずにこれを報じるというゲームをやっていて、同じ枠内にヘルパンギーナの感染が広がっているという話を押し込んでくるので、もう全く訳がわからない。

もちろん、わかっていたことではあるけれど、NHKの報道は相当にまずい状況にあって、特に誇張でもなくコロナという言葉を使うなという指示が出ているに違いない。だがしかし、その忖度はあらゆる面で異常を強調し、あまりにダークなので心胆を寒からしめる。

RSS

Twitterの騒動は続いているようだけれど、Metaが提供するという対抗サービスThreadsのサービスインが7月6日だという情報が出回って、AppStoreの登録を見ると実際にそうみたい。このアプリのプライバシーポリシーがまた、えげつないシロモノで、あらゆる情報をユーザに関連づけて収集することをあらかじめ宣言するFacebook仕草で、まぁ、他にないという理由で多くのユーザーが移行するだろうという気はするけれど、個人的には遠巻きにしたい気分。

Twitterはニュースサービスであるという見方は卓見だと思うけれど、であれば昔ながらのRSSがいちばんしっくりくる仕様で、最近ではFeedlyで情報を確認すれば事足りるのではないかという気がしている。ところが、この日、かなり長い時間にわたってサービスがメンテナンス停止しており、再開時間を過ぎても503エラーとなっていたので、お前もかという気分になったものである。