BA.2.86

この数日、COVID-19の新たな変異種であるBA.2.86についての話題を目にすることが多くなっている。少し前に注目されたエリスとは異なるもので、かなり多くの変異があって、ステルス性能も高いと考えられているけれど、優勢となるかはわからない時間帯にいるのだが、有病率が高いことに触れている記事もある。オミクロン以来と言われる変異の大きさが、どのようになるか見えてくるのは数週間かかるだろうけれど、この状況が続くうちには、感染が再び厄介な状況に立ち入ることになっても全く不思議はない。何しろ、コロナはなくなったわけではないのである。

この日の早朝、プリゴジンが誰しも暗殺と思う墜落事故で死に、事故原子炉のA LPS処理済み汚染水の海洋放出が始まる。

インベージョン

Apple TV+で配信の始まった『インベージョン』シーズン2の第1話を観る。シーズン1のあの観念的なラスト、魂の彷徨を続けていた忽那汐里は侵略開始の121日目、どこともわからない街角でエイリアン相手の戦闘中に拉致される。この昔風の展開には何ともいえない作りものの味わいがあって嫌いじゃない。何しろ、再び忽那汐里が活躍しているのは嬉しい。それにしても、ミツキは何故、円地文子を知っているのか。

『ファウンデーション』のシーズン2はまだ観ていないのだけれど、正直言ってそれほどには話題になっていない作品が予告通りに作られるというのは、さすがAppleというところ。いくつかの作品は切られたということだけれど、制作に身が入っていなかったからというのは本当ではなかろうか。

汚染水

国会の会期中は決まったことは何もないと惚け、福島漁連ではなく全漁連との面談でお茶を濁し、一定の理解は得られたとの独善的な物言いで、事故原子炉によって汚染された水の海洋放出が、今や猶予がないと閣議決定される。安倍以降の典型的な独裁の手法で、またも責任という言葉の重みは毀損した。この件に関しては、中国が言っていることにだいぶ理があって、本邦の国益は長期にわたり損なわれるであろう。そうである以上は、後世の検証に託すべき文書の集積があって然るべきだが、今や低開発独裁国のレベルに堕ちた行政では、機会をとらえて記録の抹消に勤しむであろうことが今からわかっている。

オトナブルー

最近、YouTubeがやたらと、新しい学校のリーダーズをおすすめしてくるので何度となく『オトナブルー』のMVを見ている。結果、きっと誰もがそうであるように、頭部のアイソレーションダンスを密かに真似しようと試みて、何だか首が痛い。

お盆を過ぎても日本各地で猛暑日が続くという状況だけれど、これが異常であると指摘することは徒労であるという気がしている。今年のこの異常を基準として、以降はさらに暑くなっていくばかりというのが道理であれば。

アメリカ西海岸に接近したハリーは低気圧となってネバダへ抜ける。ハリケーンがカリフォルニアに上陸するということはほとんど起こらないということだが、この夏、いったい幾つの起こらないはずの気象的事象が起きただろう。

夏の祈り

終戦の日に放送されたNHKの『新日本風土記』を観る。『夏の祈り』と付けられた副題が指しているのは、終戦から78年、敗色が見え始めてから80年になろうという戦争の戦禍の記憶と慰霊の営みのことであり、四国、信州、秋田、東京、大分と日本各地にカメラを転じて戦時の出来事が語られる。秋田では、中国から徴用工として連れてこられた人々が凄惨な虐待の末、蜂起逃亡し、鎮圧の後も多くの人が命を落とした花岡事件と、現在も続く自治体による慰霊の活動が紹介される。東京都では、朝鮮人虐殺の歴史と向き合おうとしない知事の頑なさが報じられたばかりで、その対照を考えざるを得ない。

花岡事件の一方の当事者である鹿島建設は2002年を最後に慰霊式典に出席していないということだが、それこそ記憶の風化がもたらした文脈の断絶であり、そうした人と組織は、機会があれば同じ過ちを繰り返すに違いない。まず、間違いなく。

異動辞令は音楽隊!

『異動事例は音楽隊!』を観る。阿部寛が演じる叩き上げの刑事が、30年の奉職の果て、パワハラの告発で音楽隊への異動を命じられる。タイトルだけで全てが説明されているような映画で、ひねりというものもほぼないし、人情劇の結末は逸脱なく予想の範疇にある。もちろん、もともとそういうジャンルの映画である。キャスティングにも意外性というようなものはないが、岡部たかしが意地悪な上司というような役回りで、『エルピス』以前はこんな感じのキャラクターだった気がする、そういえば。

鵼の碑

京極夏彦の百鬼夜行シリーズの新刊が17年ぶりに出るというので早速、予約する。単行本と講談社ノベルスの二形態で発売されるみたいなのだけれど、本棚の一貫性を考えれば無論のことノベルス一択ということになる。新書で832ページということであれば『鉄鼠の檻』や『絡新婦の理』とほとんど同じ厚さということになろう。楽しみ。予約時点でAmazonのベストセラーになっているのは当然として。

この日、中国の恒大グループは米国で破産法の適用を申請する。これまで幾度となく語られてきた困難なシナリオの、その第一章がほとんど想定通りに現実化したということになる。いやはや。