史上最大の作戦

コーネリアス=ライアンの『史上最大の作戦』を読む。もちろん原著のタイトルは『The Longest Day』で映画の原作にもなっているけれど、これまで未読。ロンメルが司令部をおくラ・ロッシュ=ギュイヨンの村に始まる本作は、ノンフィクションというにはあまりにもドラマチックで、読みやすい。「私の敵はただ一つ、それは時間だ」というのがロンメルの口癖だったというくだりから、

上陸作戦の最初の二四時間がすべてを決するだろう。ドイツの運命はその結果如何によって決まる。連合軍にとっても、われわれにとっても、この日こそは最も長い一日となるだろう

と、砂浜で副官のラングに言う冒頭部分は、いや、ほんとかよと突っ込みたくなるぐらい劇的で面白い。確かに、ジョン=ウェインが出てきても不思議のない雰囲気なのである。そして妻の誕生日に、ロンメルが前線を離れていたその日がD-Dayとなった歴史の数奇よ。

この動画は再生できません

Amazonプライムで配信の始まった『この動画は再生できません』のシーズン2第1話を観る。キレイにオチをつけたあのミニシリーズの、まさかシーズン2があろうとは。前作とほぼ同じ趣向で続く話となっていて、やや強引ではあるけれど変わらず面白い。どうやら、シーズンを通じて前回の最大の謎についての答えが出されるということみたい。なるほど。

なんだか急に現れて、この日にも静岡付近に上陸するのではないかと言われていた台風13号は、その前に熱帯低気圧となったけれど、夜にかけて千葉、茨城、福島の広範囲にわたって猛烈な雨を降らせる。一帯を水没させるほどの雨が短時間で降るようになったというのも、気候の大きな変化が引き起こしているということなのであろう。

GAMERA -Rebirth-

『GAMERA -Rebirth-』のエピソード1を見る。このガメラのスタイリングは平成ガメラをほぼ踏襲していて、もちろん期待は高まる。ギャオスから始まる物語であるのも、何かとわかっている感じだけれど、CGアニメ特有のキャラクターになれるのは少し時間がかかる。この不気味の谷の作用には興味深いところがあって、慣れるとさほど不自然にみえない。そしてアニメなりに作り込まれた画面もあって、それなりに楽しめる。

世界観も悪くないのだけれど、まず米軍が東京上空での空中戦を始めて、自衛隊が後景にあるらしい事情は、この時点ではよくわからない。渋谷大炎上に比すべき場面がエピソード1のクライマックスなのだけれど、どうやらモブを描くのは苦手らしく、背景はほぼ無人というのがやや残念なところ。逃げ惑う群衆が欠落しているのは、怪獣映画としてのこの物語を方向づけることになるのではなかろうか。

亡霊を追う

『インベージョン』シーズン2の第2話を観る。配信はもう3話目となっているのだけれど、Apple TV+は何かと影が薄くて油断していると消化が追いつかない。『ファウンデーション』のS2に手をつけていない状況も変わらず。それぞれが鬱屈を抱えたまま再開した本作の昏さは悪くない感じで、主要な登場人物についてのリキャップもだいたい完了というところだけれど、今のところ、どこに向かおうというのかは皆目見当がつかない。それをいうならシーズン1から、そういう感じだったとして。

都内では新型コロナの拡大によってバスの乗務員さえ不足しているというニュースが流れる。処方薬さえ不足する事態にあって、なお感染は拡大している状況で、このまま冬を迎えるということであろうか。米国でもマスク推奨の流れが戻ってきているそうだが、このニューノーマルはかなり無理筋ということではなかろうか。

もういちど教えてほしい

『GAMERA -REBIRTH-』の配信が木曜日に迫っているのだけれど、それに合わせてNetflixが平成ガメラ三部作を推してくるので、『ガメラ3』のエンドタイトルを眺めつつ、『もういちど教えてほしい』を聴いて、大阪の夜、トリロジーの結末を見届けた往時のことを思い出す。もう四半世紀前の話である。いやはや、そしてガメラが何度目かの再誕を果たそうというのだ。

熱帯低気圧に変わった元台風12号が列島上空に居座るこの日、台風13号は週末にかけて関東をかすめ北上する見通しだという。朝方の気温はやや下がってきたけれど、引き続き夏に近い日中の気温が続いている。とはいえ、この台風が去る頃には、さすがに秋らしい気配が漂うには違いない。

M3GAN

『M3GAN』を観る。ジェームズ=ワンが製作に入っている2023年のスリラー。ファービーみたいな子供用玩具を作るメーカーが何故か、本格的なAI人形の開発に手を染めており、みるからに危ない目つきのプロトタイプに自分の姪の世話をさせた開発者が案の定、トラブルに巻き込まれる。話の筋には意外なところが何もない典型的なジャンル映画だけれど、お約束通りの面白さというのもあって、全体の雰囲気は悪くない。劇中のM3GANはCGかと思いきや、若干12歳のスーツアクターが演じていて、Behind the Scenesが結構、面白い。このアンドロイドの異様な動きは、彼女の実演によるものだというから感心する。

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を観る。A24制作でアカデミー賞の作品賞を受賞しているだけあって、ただのマルチバースものにあらず、まずあらゆる可能性の行き止まりのような人間関係を踏まえた話ではあるけれど、気合の入ったカンフーアクションが、これはこれで素晴らしい。もとはジャッキー=チェンにあて書きされたところがあるようなのだけれど、なるほどこのカンフーパートはそうしたものに違いない。

そして、ダニエル=クワン監督は湯浅政明らのアニメにインスパイアされたと話しているらしいけれど、それも腑に落ちる。アメリカ国税庁の垢抜けない事務所を主な舞台としていればこそ、映画の編集の力というのは多重世界をすら表現することができるのだと感心したのだが、それは日本のアニメが得意とする仕事でもある。とはいえ、ここで描かれている多様性は、アメリカであればこそ顕現したもので、本邦はその入り口にすら立っていない。