クレイジークルーズ

Netflixのオリジナル映画の『クレイジークルーズ』を観る。Netflixと5年契約を結んだ坂元裕二の脚本によるサスペンスコメディだけれど、エーゲ海を目指す豪華客船で起きる事件と人間模様という設定はちょっと三谷幸喜みたいで楽しみにしていたのである。宮崎あおいと吉沢亮が主演で、もちろん他のキャストも豪華だし、セットもそれなりの出来で、さすがNetflixという感じ。永山絢斗が出演しているところをみると、撮影はちょっと前だったみたい。潤浩と岡部たかしが出演しているあたりは得点が高い。

坂元裕二が殺人事件をどのように扱うのかという興味もあったのだけれど、そのあたりが焦点のつくりではなく、どちらかというと事件の収拾も勧善懲悪にも関心がなさそう。感じのいいセリフが多いのはさすがという感じで、先に進むだけの物語の構造は、何がしかを示している。そう考えると、映像演出が三谷幸喜っぽさを醸し出してしまっているのが、作家のよさを削いでいるのではなかろうか。そして驚いたことに、舞台となっている超大型客船MSCベリッシマは実在のクルーズ船なのである。へえ。