#サーチ2

『#サーチ2』を観る。ストーム=リード演じる主人公が、コロンビアを旅行中に行方の判らなくなった母親の行方を、Z世代のオンラインスキルを駆使して追うサスペンス。とはいえ、謎の究明は主としてアカウントのハッキングと私書の窃視により行われるので、ちょっとどうなのという気がしなくもない。ストーム=リードは最近、Appleの公式チャンネルで『Study With Me feat. Storm Reid x Apple』というVlog風の動画に出ていたけれど、こちらでは勉強どころではないみたい。伏線をこまめに回収していく律儀なつくりで、ちゃんとしたジャンル映画という感じ。111分の尺だけれど、それだけにあと20分くらい短くてもいいのではなかろうか。

叫び

ウェス=クレイブン監督没後の企画として2022年にリブートした『スクリーム』は劇場版通算5作目の映画として、それなりに面白かった記憶があるのだけれど、その後の『スクリーム6』は本年、日本での公開は劇場スルーとなって配信が開始されているらしい。そっちは未見。『スクリーム』(2022)の続きが『スクリーム6』となるややこしさには、まぁ、そうなるわなという感じがするけれど、新たにキャスティングされてリブートシリーズの主役サムを演じているメリッサ=バレルが、インスタでガザの窮状を投稿したところ『スクリーム7』のプロジェクトから降板させられたということが話題となっている。

紛れもなく、ガザの現状は強制収容所を彷彿とさせ、起きているのは子供を被害者とする虐殺に違いないのだが、イスラエルの自衛権への言及なしにこれを指摘することは何らかの社会的なコードに抵触するというのが米国の現状ということらしい。社会的な分断はさらに深刻となり、いよいよトランプの再来に現実味が出てきた。

サバイバーズ

『A Murder at the End of the World』のチャプター3を観る。過去と現在を行き来するこの物語がどのような形を見せていくのか、まだ判然としない時間帯にあって、米国のドラマにつきものの「これまでのあらすじ」は何が何だかわからないシロモノとなっている。まぁ、それはそうだ。劇中にはレイという名前の人工知能が出てくるのだが、そのパーソナリティは今どきのLLMっぽい出力で、少し前ならこんなAIは非現実的と思われたものだが、現実はどうやらフィクションに近づいている。相変わらず雰囲気は悪くないけれど、捜査は膠着段階にあって話も停滞気味の回。

勝敗が決まる瞬間 2023

『勝敗が決まる瞬間(とき) 2023 〜ドキュメント 小倉百人一首競技かるた高校選手権〜』を観る。何やらかっこいいタイトルがついているけれど、内容は副題が余すことなく説明しているNHKのドキュメンタリー。BSをつけたらやっていたのだけれど、ちょっと劇的な演出で『ちはやふる』の世界そのものなので思わず最後まで。いや、あの漫画がこういう世界を現出せしめたのだと思うと、コンテンツの力というのは本当にすごいものだと感嘆せざるを得ない。ストーリーが世界を滅ぼすというのも、あながち大袈裟な話ではないのである。

この日、バイデン大統領は81歳の誕生日を迎える。加齢による執務への影響が不安視されるこの大統領への祝賀イベントは特に予定されていないということだけれど、共和党ではトランプが圧倒的な力を持つ状況が続き、その再選が現実的なシナリオとして語られるとあっては、いや本当に他に人材はないのかよ。

A Murder at the End of the World

Disney+で配信の始まった『マーダー・イン・ザ・ワールドエンド』を観る。原題は『A Murder at the End of the World』。ビジョナリーとして著名な富豪が北の局地にホテルを建設し、そこに招かれた事業家、芸術家のなかに死者が出る。自身の経験した事件で有名になった作家は、その真相を解き明かそうとする。ブリット=マーリングが制作に名を連ね、自ら出演もしているドラマで、12月までに7話の配信が予定されている比較的にコンパクトなサスペンスシリーズ。雪の山荘ものとしての骨格に、ハッカーや探偵ものの風味が加えられていて、設定はかなり盛り沢山な印象。第2回までの雰囲気は、しかし悪くないのでもう少し観てみるつもり。

劇中に登場する人工知能は今どきの生成AIのイメージで、このあたりを取り込んでくるスピードは速く、それを創作に利用するくだりもあるので、もしかしたらプロットの一部にChatGPTが使われているのではなかろうか。いろんな要素が渾然としているストーリー設定は生成AIっぽい。そういう実験的な要素が入っていても不思議ない感じ。

クレイジークルーズ

Netflixのオリジナル映画の『クレイジークルーズ』を観る。Netflixと5年契約を結んだ坂元裕二の脚本によるサスペンスコメディだけれど、エーゲ海を目指す豪華客船で起きる事件と人間模様という設定はちょっと三谷幸喜みたいで楽しみにしていたのである。宮崎あおいと吉沢亮が主演で、もちろん他のキャストも豪華だし、セットもそれなりの出来で、さすがNetflixという感じ。永山絢斗が出演しているところをみると、撮影はちょっと前だったみたい。潤浩と岡部たかしが出演しているあたりは得点が高い。

坂元裕二が殺人事件をどのように扱うのかという興味もあったのだけれど、そのあたりが焦点のつくりではなく、どちらかというと事件の収拾も勧善懲悪にも関心がなさそう。感じのいいセリフが多いのはさすがという感じで、先に進むだけの物語の構造は、何がしかを示している。そう考えると、映像演出が三谷幸喜っぽさを醸し出してしまっているのが、作家のよさを削いでいるのではなかろうか。そして驚いたことに、舞台となっている超大型客船MSCベリッシマは実在のクルーズ船なのである。へえ。

モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』を観る。1950年代に髑髏島で事件が起き、2014年にはゴジラのサンフランシスコ襲撃があった世界線で、物語は時間軸を行きつ戻りつしながら始まる。怪獣の襲来に備えた避難所が設定され、早期警戒警報に応じた避難が勧告される日常のある東京で、ケイトは父が残したモナークの資料を手に入れる。中心となるのはその2015年からの話で、第1話ではまだセットアップ中ではあるけれど、期待は否応なく高まる。

この日、日中首脳会談が行われたと伝えられるけれど、NHKで説明されたアジェンダは海産物の輸入禁止に始まり、これまでの対立項を並べただけの代物で、あらかじめわかっていることだけれど本邦は米国の方針転換に取り残された格好。もちろん、いかなる成果もなく終わることは約束されている。