恐怖を失った男

ハヤカワの近刊で、クレイヴンの『恐怖を失った男』を読んでいる。行きがかりで放浪を続ける元特殊部隊の男が、かつての上司の頼みで行方不明となった娘の捜索に乗り出すという設定からは、ジャック・リーチャーが確立したジャンルものとしての血統を感じざるを得ないけれど、そうした事前の予想を超えた大盛りの雰囲気で思わず笑みが漏れる感じ。心ならずも官憲とやり合うことになってしまうのがこうした物語の定めというものだけれど、三分の一を過ぎる前に2度の留置という成り行きである。