虎に翼

『虎に翼』はいよいよ最終回。第1話から毎日欠かさず楽しみにしてきた朝ドラといえば『あまちゃん』『ひよっこ』についで3つめということになる。オープニングのダンスに当世の看護師がいるので、そうなるだろうと考えていた通り、現代に近い時間軸まで話を継いで、誰でもない普通の私たちの物語として全編は完結する。徹頭徹尾、言いたいことがはっきりしている極上のドラマだったと思うものである。

そして我々の社会からは既にだいぶ遊離しているようにしか思えない政界では、自民党の総裁選が決着し、大方の予想の外から石破氏が当選を果たす。どれもダメという消去法のなかで、得票が推薦人の数を下回る候補すらあったのは自己認識の不十分と人徳のなさを露呈しているというもので、何というかみっともない。新たな総裁がどうかといえば、あらゆる地政学的緊張が高まっているこの世界で、安全保障のメッセージがやけに目につくというのも、逆にバランスを欠いているということにはなるまいか。