『100カメ』が福島第一原発の廃炉作業を扱っていて、事故後、13年後にして始まったばかりという建屋カバーの装着作業を興味深くみる。建屋は爆発後に野晒しの廃墟となってなお高線量のため、瓦礫を動かそうにも飛散のリスクがあって手がつけられずに来たのだが、これを鉄骨のカバーで覆い解体しようという計画のごく一部が、多数の人的資源を投じて進められている。年間の累積線量が規定をオーバーすれば以降は働けなくなる現場で、基本的に消耗戦というべき後始末作業に投じられている膨大な物量は恐ろしいほどである。建屋カバーといっても、ひとつが100トンを超えるブロックを70以上も使って取り囲もうというのだから、そのスケールも常軌を逸している。その現場を支えているのは、市井の職人たちなのである。
それにしても、たびたび思うことだが、このリスクをもつ技術をふたたびエネルギー政策に呼び戻そうという経済人は、そもそも損得の一般的な概念を理解できていないのであろう。必見。