『クワイエット・プレイス Day 1』を観る。ジョン=クラシンスキーが制作に回って語られる『クワイエット・プレイス』の前日譚。シリーズ化されるほどの人気が何に由来するのか、今ひとつピンと来ていない世界観の話なのだけれど、本作は余命いくばくもない主人公が滅びゆくニューヨークで実家に帰るというストーリーそのものが、ちょっといい。人生の最後で誰かに猫を託すことができれば、その生は全うされたと看做すべきなのである。
例によって音響効果は念入りに作り込まれ、やや暗い画面を補完している。終末のイメージに目新しい感じはないけれど、よく出来ているのは間違いない。マイノリティたる主人公とこれを助ける異邦人の男が声を出すことを許されない世界というのは象徴的で、これをハチワレ猫が導く構造は意図して構築されたものであろう。その猫は、よく考えるとだいぶ酷い目に遭っている。