ようこそ、ヒュナム洞書店へ

ファン=ボルム『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』を読んでいる。奥泉光の長大な小説の合間に読むのがちょうどいい感じ。本邦では喫茶店、食堂、本屋などを舞台に日常を描く小説のジャンルが隆盛を極めているけれど、韓国でも似たような感じなのかもしれない。今や両国の文化は互いに大きな影響を与えているようである。著者はLG電子の技術者だった経験があるみたいだけれど、激しく競争に駆り立てられる社会から自主的に撤退して自己を保とうという人たちのさまざまな生き方を肯定するストーリーは静かだけれど奥行きと読み応えがある、面白い。ドラマになってもおかしくない話だけれど、そこは本で読むべきであろう。