『ローン・レンジャー』を観る。予想外の不振でディズニーが多額の損失を計上したという話だけれど、そうした大人の事情とは全く関係なく、ジョニー=デップがジャック・スパロウ風のトントを演じて団塊の世代向け『パイレーツ・オブ・カリビアン』といった趣向の本作は、149分の長尺だというのに始めから終わりまで退屈なところがなく、象徴と暗号が横溢するストーリーは豊かでむちゃくちゃ面白い。クライマックスの『ウィリアム・テル序曲』にはあまりの格好よさに鳥肌が立つくらい。これもまたビギンズものの流れに連なるわけだけれど、活劇でありながら古き良き時代の後ろ姿をみせた語りの構造といい、傑作であろう。