地方紙礼賛

この歳になると政治的なスタンスとしてはリベラルかつ保守付近の居心地がいいわけだが、新聞でいうといわゆる地元紙の信濃毎日あたりが最近は肌に合っている。桐生悠々の「関東防空大演習を嗤ふ」で有名だが結局のところ不買運動に抗せず桐生の退社に至るという中途半端な腰の入りの是非は歴史の一ページとして保留するとして、しかしそうした先入観でみれば現在の紙面もだいたいそんな感じという印象はあるのだが、地方紙特有の地元情報の充実こそ、情報においても世界的なフラット化が急速にすすむ今日、逆の新鮮さとして立ち上り、全国紙の紙上に横溢する既視感とは一線を画している。新聞自体のメディアとしての命数はともかく、これはこれで生き残ることが出来るセグメントなのではあるまいかと思う昨今。