『チャッピー』を観る。劇場公開時のポスターにはかなり牧歌的な惹句があったりするけれど、何しろ『第9地区』のニール=ブロムカンプ監督だし、例によってヨハネスブルグが舞台で主要な登場人物はギャングだったりするので特に前半は相当に殺伐とした話になっていて、子供が間違えて観にいけば深刻なトラウマを抱えることになる。PG12で公開するために、配給が勝手にシーンをカットしたとかいう騒動もあったけれど、そもそも世界観が殺伐としているのに多少手を入れたところで子供が見るようなものにはならない。
「ボクを…なぜ怖がるの?」とかいうフレーズは配給元の願望とみえて、実際にはチャッピーがギャングを怖がっている。
テクノロジーに剥き出しの油臭さがあるSF映画を撮ってきた独特の作家性は健在で相変わらずなかなか面白い。DOSプロンプトでAIを転送というのも、ひとつ間違えれば茶番にしかならないところ、何となくそれらしいのがすごい。チャッピーのギャングスタな動きがきちんと表現されているのも大したものである。VFXはImage Engineでメイキングをみても手が込んだものである。
『エリジウム』もそうだったけれど、先行作品に対するオマージュが強く感じられるのも特徴で、今回は『攻殻機動隊』。そういや、チャッピーの頭部外観は『アップルシード』のブリアレオス・ヘカトンケイレスに似てなくもない。ヒュー=ジャックマンが悪役を楽しそうに演じている。