獄門島

BSプレミアムで長谷川博巳が金田一耕助を演じた『獄門島』を観る。正直言って、今さら『獄門島』かという思いも少しはあったけれど、わざわざ作るからにはそれなりのものであるに違いないという期待の通り、まず脚本の出来がよくて、原作を踏まえつつ、ひょっとすると原作よりも状況をよく整理しているし、特権的ではあるけれど無意味というべき暴力的な死を追走する探偵の虚無をよく描いて、結局のところ被害者を救うことは出来ない金田一のキャラクターを際立たせている。映像化ではメルクマールとなる1977年の市川崑版よりずっと面白いと思ったのだが、脚本は『桐島、部活やめるってよ』『幕が上がる』の喜安浩平、演出が『あまちゃん』の吉田照幸とあって、なるほどと膝を打ったことである。このところ日本のドラマには感心させられることが多いけれど、実績のある人たちの仕事はやはり打率も高いようで、本作でも大変いい仕事をしている。