『ファースト・マン』を観る。『ラ・ラ・ランド』のデイミアン=チャゼル監督が再びライアン=ゴズリングを主役に据えた映画で、アポロ11号で月面に立ったニール=アームストロング船長の半生を、ミッションそのものをクライマックスとして描いている。緩急自在の画面の果て、静かの海の精密な描写に至る演出は徹底的に企まれたもので、これはすごい。
冒頭、X-15のテストフライトからして軋む機体が喚起するリアリティが只ごとではないのだけれど、再現されているテクノロジーが月面ミッションの本来の困難を想像させてドラマとしての質も驚くほど高い。サターンVロケットの打ち上げシーンは見どころのひとつだけれど、これほどのスケールを感じさせる例はなかったのではなかろうか。ライアン=ゴズリングと妻のジャネットを演じたクレア=フォイも熱演によって奥行きを生み出しているけれど、技術の描き方にも半端なところがないと思ったことである。