厚生労働省が都道府県の衛生主管部局に出した通知によると、高齢者向けのワクチンは4月の最終週までに市区町村ごと一箱の配布があるそうである。最近、自治体でやっているワクチン接種の予行訓練と同様、極低温輸送の訓練のようなものかと思われる。さらには冷凍庫の故障によって1000回分のワクチンが使えなくなったと重ねて報道されていたりするのだが、どれもこれも必要なスケールに対して絶望的なほどに小さな数字の話なので敗色はいよいよ濃い。
科学技術と兵站の軽視は旧軍の宿痾という言葉があるが、現出しているにはまさにその状況であって笑えない。接種の予行練習を重ね、副反応への対応に頭を悩ませた挙句、玄関先に届けられるのがワクチン一箱とあっては、ガ島のネズミ輸送を想起させるではないか。