この日、インペリアルカレッジのオミクロン株に対するワクチン効果予測が伝えられる。追加接種によって持ち上がった発症予防の効果は力なく降下して定期的な追加が必要になりそうだが、実際のところ、3ヶ月に一度の追加接種など無理筋というものだろう。オミクロン株がデルタ株に対して重症化しにくいという根拠は見つかっていないという指摘も重なり、未知の段階で語られてきた楽観論に冷や水を浴びせかけるターンが来ている。
問題はオミクロン株に特化したワクチンが普及しなければ、これまでのゲームプランは成立しないという理路である。いったんワクチンによるウィズコロナという方針を開始しておいて、これを巻き戻すことになれば各国の政権は急速に支持を失っていく。特に民主国家でこそ、パンデミックを遠因とする求心力低下がすすみ、騒動に乗じてポピュリストや急進派が権力を握ることになる。数年後の世界は一層、不安定な場所となっているだろう。