この日、大阪でオミクロン株の市中感染が確認されたというニュースが流れたが、いわゆる水際対策が抗原検査を主として続けられている以上、すり抜けは発見と同じくらいあって、感染自体は既に数桁多いオーダーで広がっているのではなかろうか。施設隔離の方針はいいとして、実態としてはおそらく穴はたくさんあり、であればこそ多重防御を旨とするスイスチーズ戦略が必要となるのだが、本邦の場合、市中感染が始まれば水際対策は無駄とする妙な諦めのよさが幅を利かせがちなので、これから総崩れとなる流れもなくはない。年明けの期限にいわゆる水際対策の停止を求める圧力は常にかかっているのだろうけれど、このあたりの見識をどう示すかが政権の試金石となる。
思い返せばスガ政権下においては、このチャンスを逃せば解除できなくなるかもしれないから解除という超絶論法で非常事態宣言を緩和したことがあって、公衆衛生上の対策が経済の要請によって駆逐される実例はこの2年で十分に積み上がっている。それは政策プロセスが一部のフリーライダーに牛耳られているというであろう。
同じ日、馬鹿げたアベノマスクの馬鹿げた在庫を廃棄するという表明がされたが、アベ不可侵ではないという一点において敵の敵は味方という妙な状況が生まれている。困ったことに維新や国民民主よりマトモにみえることについては否定できず、残念ながらリベラル野党の失地回復はますます困難になっている。