『ストーリー・オブ・マイライフ / わたしの若草物語』を観る。しっかり『若草物語』でありながら、モダンな価値観で全編を構築した監督・脚本のグレタ=ガーウィグの仕事は偉業という他なく、『若草物語』と『続 若草物語』を行き来しながらメタな構造までもち、しかも違和感なく繋がれた画面には感心する。演出の仕事も細部まで行き届いているのである。
シアーシャ=ローナンは『レディ・バード』に引き続きこの監督の作品を主演して名声を高めたが、その仕事ぶりは賞賛に値し、キャリアを積み重ねているのは嬉しい限り。エマ=ワトソンはもちろん、フローレンス=ビューもいい。キャストも旬揃いで見どころの多い映画なのである。135分の『若草物語』がこれほど面白いとは、己が不見識を恥じるほかない。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ『悲愴』の第2楽章が使われるのはちょっとベタだけれど、他はないとも言える。