『みをつくし料理帖』を観る。原作の小説はこれまで何回か映像化されていると思うけれど、松本穂香主演で角川春樹が監督した2020年の映画版。以前、NHKでは主人公の澪を黒木華が演じたドラマをやっていて、楽しみにしていたものである。この映画も全10巻の原作の前半、ドラマとほとんど同じ時間軸を扱っていて、しかし映画の尺であるからにはダイジェストのような印象は拭えない。一方が黒木華であれば、比べられる松本穂香も気の毒というものだし、終盤は連載打ち切りの漫画のように強引な帰着にならざるを得ないところもあって、どうしてこの映画を撮ろうと思ったのかちょっと腑に落ちない。何なら前後編の二部構成にしてもいいところだが、そこまで腹を括っている様子もないのである。
この日、COVID-19による日本での死者が3万人を超えたことが伝えられる。1万人から2万人への増加に290日程度かかったが、そこから3万人には3ヶ月というスピードで、オミクロン株も弱毒化などしていないというのが現在の結論なのである。この深刻な感染症の扱いは、事実に反するかたちで矮小化され希望的なエンデミック化が進行しつつあるが、ワクチンの効果の剥離とともに目を逸らすことができない被害が積み上がっていくことになる。