競争の番人

TVerで『競争の番人』を観る。どこかでみたタイトルだと思えば、新川帆立の近刊が原作。杏と坂口健太郎、小池栄子と大倉孝二という主要キャストに、敵役で山本耕史、小日向文世とあって、『鎌倉殿の13人』に通じる布陣の厚さを感じざるを得ないわけだが、何しろTVerが前提なので、いわゆるフジテレビ月9枠であることには気がついていなかったのである。杏が演じる白熊楓が元警視庁捜査一課の刑事で犯人をとり逃すミスによって公正取引委員会に左遷、という冒頭の展開で、何だかよくわからなくなっている。なんでやねん。原作者は定型、類型を恐れない作風だとは思うけれど、これはまた意味合いが違う改変ではあるまいか。

みれば脚本家は四人も起用されていて、雰囲気で話を運べば細かいことは言いっこなしというノリが人物設定にも垣間見ることができるわけだが、それがハイコンテキストな理解を要求していることに作り手が無自覚であるということに、いわゆる月9枠の問題があるように見える。常識を動員して話の展開を理解することが困難なので、たとえば海外に売ることができるようなコンテンツにはなっていないということを、そろそろ深く考えるべきではなかろうか。