すべて忘れてしまうから

Disney+オリジナルのドラマ『すべて忘れてしまうから』を観る。阿部寛がいつもの演技プランでミステリー小説を書く作家Mの役を演じ、馴染みのバーや喫茶店を舞台にしながら物語が進んでいく。第1話では、尾野真知子が演じるFの失踪が語られ、奇妙な姉として酒井美紀が出てきて「まさかと思うけれど、殺してないですよね?」と、エピソードタイトルになっているセリフを吐くのがハイライトだけれど、全体には導入にあたっての説明となっていて、どう転がっていくのかは予想がつかない。

まず、キャストの分厚さがディズニーの本気を感じさせるのだが、ノイズののった画面と、ちょっとした違和感を増幅させる演出は、どこか鈴木清順の映画を想起させて楽しい。突出したセンスのみが実現できるバランスが表出していると思うのである。30分程度の尺で毎週配信ということだから、しばらく観てみるつもり。