エルピス 第7話

『エルピス -希望、あるいは災い-』の観る。開かずの扉が思いがけず開いたように見え、しかしボケてるふりして考えることから逃げることを許さない第7話。岡部たかし演じる村井が左遷されてからもちょくちょく顔を出すのがうれしいのだが、もとの悪役ぶりからするとこの振れ幅を成立させている脚本は大したものではないか。そして、聞かない、考えない、話さない、開けちゃいけないパンドラの箱というセリフを投じてくるのが、もう二度と出てこないのではないかと考えていた所轄の刑事 平川である。毒の回った頭で走り続ける死に損ないの息を、早く止めてやってくださいよというやりとりは、息を呑むような今回の見どころで、毎度こういう会話が入ってくるのがすごい。いくつもの実際の冤罪事件を下敷きにしたドラマであることを想い出せば、なおさら。

サッカーで大騒ぎをしている陰で、専守防衛の言葉は骨抜きにされ、航空自衛隊のF-15がフィリピンまで飛んで着々とレッドラインを後退させる。2022年は戦後の大転換が行われた年として、ことによったら戦前、その後の方向が決まった年として記憶されることになるだろう。