Netflixで配信の始まった『キル・ボクスン』を観る。チョン=ドヨンが殺し屋を演じるアクション映画。このチョン=ドヨンは『イルタ・スキャンダル』よりも圧倒的に格好よくて、凄みと美しさが同居する。冒頭、関西ヤクザの怪しい日本語から始まる異界な雰囲気に、凝りに凝ったグラフィックがのってくるあたりで傑作に違いないことは明らかとなり、『ジョン・ウィック』をさらにノワールに寄せた感じの世界観がまた楽しい。『キル・ビル』よりもこっちの影響が明らかのようにみえるのだが、根底にあるのはアジア的な情念というのがいい。
高度に計算されたアクションとカメラワークが堪能できるので、137分の尺がまったく長くないのである。チョン=ドヨンが撮影中に負傷して制作が一時、中断していたという話だけれど無理もない。