『バッドマン ビギンズ』を観る。ティム=バートン版とは訣別して独自のゴッサム・シティを構築しており全くの別物を志している様子である。傑作というべきであろう。『マシニスト』でこの世から足を踏み外したかに思えたクリスチャン=ベイルが立派に復活してブルース=ウェインにしか見えない活躍をしている。助演も豪華であり、マイケル=ケインだのリーアム=ニーソンだのゲイリー=オールドマンだのモーガン=フリーマンだのがそれぞれに適役を得ているのである。バットマン誕生までの手作り感も楽しく、何しろバットマンという存在を演出と語り必要性を納得させる仕掛けが用意されており、全体としてユニークで強固なこの世界観の構築に成功した監督・脚本のクリストファー=ノーランその人の才気は本物であろう。140分を存分に楽しんだ。