『007/慰めの報酬』を観る。ダニエル=クレイグをボンドに据えた慧眼に感じ入っているからということもあろうが、キャストの秀逸さに今回も感心する。前回のエヴァ=グリーンも美しかったけれど、オルガ=キュリレンコも非常に存在感があっていいしね。冒頭のカーチェイスに始まり、ほとんどダレ場のない展開で、トスカを題材にした銃撃戦のシークエンスに至っては映画史に残ると冠をつけたくなるほどサマになっている。今回のボンドもカクテルの蘊蓄などには興味がないという設定が引き継がれており、前作のいろいろも律義に回収されていて、脚本の出来は相変わらず優れている。情報量の多い画面もよく整理してあって、マーク=フォースターという人はこういう手腕のある監督だとは思っていなかっただけに言祝ぎたい感じである。堪能した。