ワルキューレ

red『ワルキューレ』を観る。トム=クルーズが主人公のシュタウフェンベルク大佐を演じているわけだが、公開時には遺族から異議が挟まれていたと記憶している。つまり、こんな奴とは違うぞと言われてしまっているわけで、それはそれで気の毒だが、この映画についていえば、英雄シュタウフェンベルクを軸に据えるよりは、ワルキューレ作戦そのものに焦点をあてて欲しかったという気がすごくする。このスケールの大きな欺瞞こそが物語の醍醐味じゃないのかと思うのだが、どうしてか中途半端なサスペンスとなってしまって、いまいち盛り上がらない。これは監督であるブライアン=シンガーの力量かもしれない。大方の観客は史実を知っているわけで、であれば未遂となる暗殺工作の方を熱心に描いてもはじまらないのではなかろうか。それは措くとして、少なくとも副官のヴェルナー=フォン・ヘフテンはその最期からして重要なキャラクタとなったはずだが、なんとなく付き従っている、という感じで見せ場があまりないのが残念である。