ポメラ

roadポメラという電子機器があって、ご存知の通り、メモ取りしかできない単機能デバイスで、いうなれば電子読書端末のごとく限られた存在であり、更にいうならKindleと違ってこちらにはネットワーク機能すらない。インターネット上に流布されている話によれば、購買層は7割方が40歳以上男子といううら寂しい、あるいは薄気味の悪い興味の対象であり、特定進化の果てにある存在であればこそ究極の消費、いや無駄遣いという謗りも甘んじて受けなければなるまい。
そのポメラである。テキストを打ち込むのに特化したデバイスで携行性に優れ、折り畳み式のフルキーボードを装備しているあたりが特色であって、ポケットから出してキーボードを展開し2秒で起動、というのがウリ。データのやり取りは、内蔵のmicroSDを使うか、USBで母艦のPCに繋ぐというかなり窮屈な手段に限られていたのだが、このたび入力データをQRコードに変換して表示するキワモノ的な機能が装備されたことによって、つまりケータイのカメラでテキストデータを取り込むことが可能になったわけである。iPhoneならQRCorderというアプリを使って読むことができるので、メールでEvernoteに飛ばすという芸当が簡単にできる。素晴らしい。
で、大方の予想通り、こいつを購入してしまったという訳である。そうはいってもこうしたガジェットを買うのは久しぶりであり、心待ちにしていたのだが本日、到着。
そのミニマムな機能とは裏腹に、キーボードが展開するという仕掛けや全体の作りは細かいところで凝ったものであり、最小限という印象とはほど遠く、いかにも日本の製造業による設計という仕事で、たとえばアップルがやりそうなデザインとはやはり本質的に異なる。モノクロのTFT液晶は高コントラストなもので、昔のPalmを思い起こさせる印象があって悪くないし、キーボードも十分に許容できるクオリティである。
実際のところ、文章書きツールとしての有効性は、この投稿の文章がいつもより心持ち長くなっているあたりにその証左があるわけであって、しばらく遊んでみるつもり。