さよならドビュッシー

『さよならドビュッシー』を読む。このところ込み入った本が続いていたこともあって、サラサラと読めるエンターテイメントという感じがよかった「このミス」大賞受賞作。ピアノを題材としたスポコンものというのが物語の背骨で、このあたりの書き込みには得体の知れない熱気があり、何しろこちらには音楽の素養がないものだから、拝聴する感じで知らず引き込まれている。佳作。マンガのような雰囲気から、作者は若い人だと勝手に考えていたのだが、プロフィールをみると遙かに年上なので、そのことには驚いた。それは措くとしても、仕掛けは水準以上ではあろうし、多少の瑕疵、結構な無理があったところで気にならない程度のものである。