引き続いて『愛のむきだし 下』を観る。上巻での状況設定を経て、ストーリーはカルト教団に取り込まれた義理の妹を救出しようとするユウの奮闘、という建て付けで進行するが、本邦に固有のアングラ劇風の展開は、悲劇の再発明を一所懸命しようとしている感じはするものの、ちょっと浅薄であるまいかという印象であって、要するに深みを感じない。観念的なダイアログも文脈に沿っていなければ、ためにするものであるという印象を拭えない。そもそも、空虚を抱えてカルト、心が壊れて精神病院という類の表現であるなら、わざわざ映像にしたところで結局はそれだけの話であろう。海岸のシーンは全体のなかでも重要な場面となるはずだが、そのまま、行き止まり以上の意味を与えられていないのであれば、やはりこの237分は長すぎるというべきではないか。