バラク・オバマ 大統領への軌跡

『バラク・オバマ 大統領への軌跡』を観る。バラク=オバマが有力な大統領候補になる前からの選挙活動を追ったHBOのドキュメンタリーで、次第に高まっていく人々の熱狂と選挙を支えるスタッフ、何よりバラク=オバマその人の精力的な活動をドラマチックに再構成して興味深い。密着取材であるがゆえに、往時の状況を俯瞰した内容ではないが、ここに登場するスタッフが政権の中枢を掌握していることを考えれば何かと勉強にもなる。クライマックスは投票日前日のノースカロライナでの演説で、この種の政治的興奮は本邦では決して実現されないものと知りつつ、こちらまでうかうかと涙してしまうほどである。誰だってブッシュよりはマシという意見はあるにして、かなり上等な人柄に見えるところがそもそも羨ましい。もとより興味があったのは主席スピーチライターのJon Favreau氏で、27歳ながら重要な仕事をこなすその様子を垣間見ることができる。