『PUSH 光と闇の能力者』を観る。権力対超能力者ものという昔懐かしい設定をオール香港ロケでやっている。単独では立ち行かなくなった香港映画界は、しかしハリウッドの傘下にあっても独自性を発揮していて、画面はぎりぎりで乱雑のほうに転落しているし、物語の筋のほうもとっちらかっているのだが、大河小説の一部を切り取った感じの盛り沢山な感じがまた非常に懐かしくて嫌いになれない。タイトルの『PUSH』はどうやら超能力の一形態を指しているのだが、何しろ話が錯綜しているので、そのあたりは霞んでいる。最近、主演級じゃなくても画面に登場するようになったダコタ=ファニングがヒロインを演じており、未だに14歳で通用するあたりもすごいのだが、相変わらず芸達者なところを見せている。