母なる証明

yellow『母なる証明』を観る。不思議な邦題であるのはとりあえずおくとして、韓国のポン=ジュノの新作で、かなり見応えがある。捨てゴマなしという感じに全てのシーンはサスペンスを高めるために貢献しており、表面張力によってじわじわと日常を侵食して戻りようもない。母親その人を演じたキム=ヘジャの仕事は確かなもので、奇抜な冒頭からして観客は度肝を抜かれるだろう。人間の関係性を唐突に断ち切ってしまう暴力の、その断面の描き方が韓国の映画というのは抜群に上手い。あるいは上手い映画が韓国には多い。それが何故なのかという問いは別に譲るとして、わけてもポン=ジュノは手練れというべきで、よく設計された画面には風格さえ漂うようである。全く異なる個性ながら、サム=メンデスの完成度を連想した。