『ハーパーズ・アイランド』の第二話と第三話を消化。孤島ものにまつわるコードを楽しむ。
『WORLD WAR Z』が傑作であり、本年度のナンバーワンになるであろうことはまず確かなのだが(それどころかオールタイムベストにも当選確実)ディテールでも感心するところが多くて、何かと勉強になる。インタビューの記録という体裁の本作では、当事者は往時の状況についての証言を個人的見解や政治的立場を添えて差し出すという構造になっているのだが、無数の記録でその色彩を書き分けているのは序の口として、そこに表出する哲学の中身もまた深い。
「大衆的な支持は限りある国家資源として大切に使用しなければならない。思慮深く、けちけちと、そして投資に対して最大限の見返りが得られるように消費しなければならない」ポリティクスの側面を、資源という観点から語るCIA長官のくだりには、何だか頭の風通しがよくなったようにも思えたものである。フローではなく、ストック!
民主政治に関するこのような了解が、米国における基本的な認識であり、それが現実を写し取っているのであれば、それはかの国の成熟を示しているように思われる。本邦における「大衆的な支持」、それ自体に対する違和感は、このたびの内閣の交代でも見られたように、先の政権において副総理という立場にあったその人が、総理になったということだけで60%を越える支持率を得るという摩訶不思議な現象でも強く認識した通り。この場合、それは「限りある国家資源」という言葉には馴染まず、もっと浮薄なものであるように思える。その力が資源としてすら勘定されない世界においては、無論のこと大衆政治の果実さえ、我々は受け取ることができないであろう。