『恋するベーカリー』を観る。ナンシー=マイヤーズが『恋愛適齢期』『ホリデイ』に続き脚本と監督を務めている映画で、メリル=ストリープとアレック=ボールドウィンが10年前に離婚した元夫婦を好演している。うまい。ナンシー=マイヤーズはビッグネームを使って上質な恋愛映画を撮れる監督という評価がすっかり定着している感じ。スティーヴ=マーティンを含めた主役級がいい仕事をしているのは当然として、魅力的なバイプレイヤーで脇を固める作風は抜かりなく、今回は長女の婚約者を演じているジョン=クラシンスキーのキャラが抜群にいい。周辺に安定感があれば、多少の泥沼があったところで観客は安心して観ていられるという老獪なテクニックであって、内容はえらくスノッブなのだが、経済的には成功している登場人物たちの描き方もそれほど嫌味がなく、何かと品がいい。