『ウルトラ I LOVE YOU!』を観る。『しあわせの隠れ場所』でオスカーを贈られたサンドラ=ブロックが同じ年にラジー賞を獲ったのがこの作品である。そうとは明らかにされていないが、アスペルガー症候群の女性が恋に落ちたらどうなるかというのが基本的なアイディアであったに違いない。知識はあるけどぶっとんだ個性のメアリーが、テレビカメラマンのスティーブを追いかけて起こす騒動を描くというのが骨格で、それなりのドラマに仕上がっている。 酷い邦題で、売るのを諦めたような感じさえあるが、結局のところ不評を買ったのは「政治的な正しさ」の観点においてであるとみえて、コメディとしては水準作。サンドラ=ブロックの例によっての体当たりぶりには感心する。『サイドウェイ』でジャックを演じたトーマス=ヘイデン・チャーチが実にいい味を出していて、ゼロ年代のアメリカンマッチョといえばこの人であろう。